まいど、いまにしです。
ここ数日前からたくさんの問い合わせが来ました。
私が30年以上、仕事をしている朝日新聞出版の
「週刊朝日が休刊になるのではないか」
というものでした。
「新しい仕事先、紹介しようか」
「失業するのか、転職せんのか」
「うちで書いてくれませんか」
など嬉しいことにいろいろなご心配、なぐさめの電話がありましたので、ブログで書きます。
以前から、休刊の話は出ていました。
それが現実となると、本当に悲しくてなりません。言葉もありません。
これまで週刊朝日では、たくさんの記事を書いてきました。
毎週2本として年間100本近く、30年以上なので3000本はくだらないかと思います。
今、古い週刊朝日を手にしていると、いろいろな思い出がよみがえります。
阪神大震災、東日本大震災と福島第一原発事故、オウム真理教事件、
神戸児童連続殺傷事件、和歌山カレー毒物事件、安倍晋三元首相の銃撃事件など
数々の大きなニュースにぶつかり、取材できたことは記者冥利につきます。
他の週刊誌とぶつかり、抜きつ、抜かれつのスクープ合戦。
そのころはきつい日々でしたが、今となってはいい思い出です。
スクープにご協力をいただいた方の顔が浮かびます。
これまで週刊朝日の取材では、数えきれないほどの方々にお世話になりました。
「感謝」
という二文字しかありません。
週刊朝日の仕事をはじめて、2,3年くらいの時でした。
ある造り酒屋の会長さんを取材しました。
「ちょっとこちら、のぞいてみて」
と見せていただいたのは、週刊朝日約50年分がずらっと1冊もかけずに
並べられていました。
読者に支えていただいていると、実感しました。しかし近年は「紙離れ」で
読者がガタっと減って厳しい状況が続いていたのは間違いありません。
記者として、読者が満足する記事を提供できなかった、努力が足りなかったと
反省、申し訳なく思うばかりです。
朝日新聞出版では、週刊朝日とAERAという2冊の週刊誌を出しています。
部数としては週刊朝日のほうがAERAより多く売れているので、休刊は
おかしいというご意見も頂きました。私は週刊朝日の方でずっとやってきたので
「なんでやねん」
という思いもあります。
が、会社のしかるべき立場ある人が、経営、今後の戦略、将来を見据えて考えに
考えて決めた、判断したこと。
ただの出入り業者にすぎない記者が、口出しすることではありません。
新聞や雑誌は、紙媒体としての売り上げとそこに広告宣伝は入り、1粒で2度、3度
おいしいという、20世紀のビジネスモデルとしては非常に長く成功した業界だったと
思います。
しかしデジタル、スマートフォンの時代になって、ビジネスモデルが過渡期を
迎えてしまったということなのでしょう。
これまで週刊誌の休刊、廃刊は何度も目の当たりにしてきました。
そのたびに、1つの週刊誌が消えるとその読者が他の週刊誌に流れると言われて
きたが、実際はそうではなりません。
週刊誌、マスコミ業界全体のマーケットが縮小していくだけです。
日本最古という週刊朝日が終わってしまうと、週刊誌ジャーナリズム、
週刊誌カルチャーの退潮が加速しかねないと心配です。
コロナ禍で編集部に足を運ぶことはすっかり少なくなっていましたが、
週刊朝日編集部が消えてしまう、一緒に仕事をした仲間がいなくなってしまう
というのは、胸が張り裂ける思いです。
週刊朝日も、5月いっぱいまで続きます。
最後まで頑張ります。
AERAdotもネットメディアとして、さらなる発展を遂げることと思います。
私は、週刊朝日でも記事が出ていますが、基本的には朝日新聞出版の
ニュースサイト「AERAdot.」の担当ですので、今後も頑張って記事を書きたいと
思います。
よろしくお願いいたします。